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【丁寧なレシピ】比容積4!ふわふわしっとり「究極の一斤米粉パン」


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<はじめに>

他の米粉パンと比べて、この一斤米粉パンは難易度が高いです。というのも、ロットによって米粉(熊本製粉のパン用米粉ミズホチカラ)の吸水率が異なるため、使用する粉によって配合を変える必要があるからです。つまり、全ての粉に適切な配合をお伝えすることができないのです。そして、私自身、どれほど差が生じるものなのかまだ分かっていないのが現状です。 今回公開するのは「この程度の重さになる粉なら、この配合でいけます」というレシピになっています。今後は、粉によってどの程度加水量を増減すべきか等、分かり次第更新していくことにしました。異なるロットの粉をたくさん使って実験する必要があるのですが、いかんせん、個人でそこまで大量に粉を注文できないので・・・。万能なレシピではないことをご了承ください。

 

<一斤米粉パンについて>

比容積4、材料は米粉、砂糖、塩、イースト、水、植物油のみです。発酵前の生地と比較すると焼成後は5倍以上になります。ですが、使用する粉によって仕上がりが若干異なるかと思います。仕上がりはしっとりふわふわ、ほどよい甘さで、生食でとても美味しい一斤パンです。しっとりしていますが、ねっとり感のない、噛むと口の中で優しく消えていくような絶妙な食感の仕上がりになっています。

 

<粉の吸水実験>

必ず、熊本製粉のパン用米粉ミズホチカラを使用してくださいAmazon等で購入できます。 冒頭に書いた通り、粉によって吸水率が異なるため、加水後の生地の状態を確認する必要があります。今回のレシピでは次の動画のような重さになる粉を使用しています。これまで使用した粉と比べると、少し吸水率の高い=重めの粉です。

 


「究極の一斤米粉パン」粉①の吸水実験

 

粉を20g、ぬるま湯を17g、よく混ぜて26℃になった時の粉の状態を確認します。動画のように、手に抵抗を感じる、少しもったりした生地の場合、このレシピで作成可能と思います。もしこれよりも、水っぽくサラサラした、緩い生地になった場合は粉を増やしたり、加水量を減らす、あるいはペーストを増やす必要があるかと思います。詳しくは、下記の<今後の課題:粉によって変えるべきこと>を先にお読みください。参考になると嬉しいです・・・!

 

<材料>

・熊本製粉パン用米粉 ミズホチカラ 205g

・きび砂糖 21g

※砂糖の量を減らすと陥没や空洞の原因になります。

・塩 2.9g

・赤サフ インスタントドライイースト 3.2g

・ぬるま湯 144g+22g=166g 

※混ぜ終わりが26℃前後になるよう、室温に合わせて調整してください。目安は冬場で37~38℃です。

・ペースト 熊本製粉パン用米粉 ミズホチカラ 4g  常温の水 16g

・キャノーラ油 8g

 

<道具>

・ペースト作りに使用する耐熱皿(少し深さのあるもの)

・大きめのボウル(メモリ付きのボウルだと発酵時に分かりやすい)

・ラップ、輪ゴム

・ゴムベラ 大小、2種類あると便利

・温度計 こちらの温度計は早く計れるのでオススメ

・泡だて器  

・スケール 必ず0.1g単位で量れるものを!

ハケ 

・一斤の型 私はこちらの型を使用

・オーブンシート 耐熱温度、時間を守って使用 

 

 <下準備>

・材料を全て準備しておく。

・型にオーブンシートをしいておく。

①長めに切ったオーブンシートを底の長さに合わせてペンで印をつけておく。

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②印をもとにシートを折り曲げてハサミで切る。2枚分つくり、ハケで油を塗った型にはりつける。底部分はシートが重なるので、下のシートの底に油を塗って、その上にもう一枚のシートを重ねる。型から少しはみだした長さにしておくと発酵時に輪ゴムをかけやすかったり、焼成後に取り出しやすい。

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 ※油をまんべんなく塗り、歪みがないようにきっちり合わせる。

 

<手順>

①ペースト作り

耐熱容器に米粉4gと水16gを入れて、スプーンでよく溶かす。ふんわりラップをかけて電子レンジで500W15秒温めてよく混ぜる。再度、500W15秒温めてよく混ぜる。最後に500W10秒~15秒温めてよく混ぜる。ペーストはスプーンの先がうっすら透けるくらい。冷めすぎないようにラップをふんわりかけて置いておく。

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※高いワット数で長い時間温めるとダマになりやすいので、様子を見ながら小まめに加熱すること。

※ペーストは冷めすぎると加水した米粉に混ぜた時にダマになりやすい。特に冬場は冷めやすいので注意してください。指で触るとほのかに温かいくらいで生地に加える。

 

米粉に砂糖、イースト、塩を加える。イーストは砂糖の上に加え、塩からは離しておく。泡だて器でよく混ぜる。

 

③ぬるま湯を②に144g加え、粉っぽさがなるなるまで、よく混ぜる。

※発酵前の生地温度は26℃前後が理想。冬場のぬるま湯の温度は37~38℃が目安です。

 

④③に人肌程度の温かさになったペーストを加えてよく混ぜる。ゴムベラにペーストがついたままにならないよう、小さいゴムベラでこそぎ取る。ダマにならないようにしっかりと混ぜる。ちなみに、分けて加水するのは、ペーストがダマになりにくいため。少し重い生地の方が上手く混ざってくれる。
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⑤残りのぬるま湯22gを加え、よく混ぜる。

 

⑥油を加えて、8分ほどゴムベラ大でよく混ぜる。混ぜ終わると、手に抵抗を感じる重さ、生地をジグザグに垂らしていくと表面に跡がうっすら残る程度になる(下に動画を載せています)。混ぜている間に、電子レンジの発酵機能で庫内を温めておく。季節やオーブンによっては、お湯をいれたコップ等を入れてさらに加湿しても良い。

※混ぜ足りないとねっとり感のあるパンになってしまいます。

※ボウルのふちに生地がついた場合はこまめに落とすこと。そのままにしておくと、その部分が乾燥してしまいます。

※5分ほど混ぜると、生地が少し緩くなるので、慌てて加水しすぎないように注意。

 

⑦1次発酵。ボウルをオーブンに入れ、40℃で約3倍に発酵させる。発酵完了の目安は一番膨らんでいる部分が1050ml程度に達すればOK。生地温度が26℃前後の場合、目安として45~50分程度かかる。
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⑧発酵が終了したらガス抜き。3分ほど、ゴムベラ大でしっかり混ぜる。冬場は型が冷めているので、ガス抜き中に発酵機能を利用して型を温めておくと良い。

 

⑨一斤型に生地を流し入れる。軽く生地を均して、ラップと輪ゴムで乾燥しないようにしっかりとめる。

 

⑩2次発酵。40℃で型の上から約2.6㎝(※下記参照)まで発酵させる。オーブンから型を取り出し、240℃で予熱を開始する。輪ゴムとラップを外して(外すときに反動で生地にラップがくっついてしまうことがあるので、早めにシートに切り替えても良い)、写真のように、蓋よりひとまわり大きいシートの片側を折り曲げ、蓋にかませて常温で発酵させ、シートに生地がくっつくようにする。

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 ※この後、上のシートに生地が張り付くまで発酵させるのですが、オーブンの予熱時間がどのくらいかかるかによってオーブンでの発酵を切り上げるタイミングが異なります。私はシートの半分くらいに生地がはりつき、しっかり庫内が温まるまで12分くらいかかるので、2.6㎝を目安にしています。

 

シートの半分くらいに生地がくっついたら予熱完了したオーブンに入れる。写真くらいが目安です。発酵不足は陥没、発酵過多は焼成中に型から生地が溢れ、焦げる原因になります。

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⑫240℃で32分程度焼成オーブンに癖がある場合は途中で一度向きを変える。

※オーブンシートによって耐熱温度、時間が書いてあるので、使用方法を守り、発火しないよう注意してください。上記の焼成温度、時間はあくまで目安になります。とはいえ、焼成温度が低すぎると陥没するので注意。

 

<生地の緩さについて>

混ぜ終わった生地の緩さの動画です。参考にしてください。

 


「究極の一斤米粉パン」生地の状態 粉①

 

手に感じる抵抗、生地を混ぜた時の線の消え方、生地の落ち方、生地をジグザグに落とした時の線がどのくらい残るかなど確認するといいです。

 

粉の吸水率が変わるならば、同じ緩さを目指して加水量を増減すればいいのではと思うかもしれませんが、これまでの経験上、やっかいなことに、粉によって適切な緩さが異なるようです。吸水率の高い粉は比較的重い生地、吸水率の低い粉は比較的緩い生地になるかと思います。この問題についてはこれから色々なロットの粉を使って随時更新していきます。

 

<今後の課題:粉によって変えるべきこと>

①総量、比容積が変わらないように粉と水分量を調整する

これまで、ペーストの量が変わらない場合、加水量のみを増減することで生地の緩さの調整をしていたのですが、加水量のみ変えてしまうと微妙に味の変化が生じてしまうように感じています。食感は良くなるけど、甘さが足りなかったり、若干発酵臭がするなど・・・。最近は、なるべく上記のレシピの総量の426.1gからブレないように、粉と加水量、両方の配合を調整していています。

 

②油の量を変える

かなり緩い粉の場合、粉と水分量を変えるとともに、油の量も変える必要がありそうです。粉と水分量の調節だけならば、外見的には大きな失敗はないかもしれませんが、気泡が小さく、食感が少し固くなります。総量が変わらないよう、油を少し増やして調整することで気泡が大きくなり、ほどよいふわふわしっとり食感に変化させることができました。(緩い粉になかなか当たらないので、確信が持てたら配合アップします!)

 

③2次発酵における生地の張り付け

恐らく、吸水率の低い=軽い生地の場合、手順⑪の工程、張り付けを控えめにする必要があるのかな?と感じています。軽い生地を重い生地と同じくらいに張り付けると生地が溢れ出たり、やたらカクカクして、その部分が焦げ付いたパンになりがちです。逆に、吸水率の高い=重い生地の場合はより張り付けないときれいに釜伸びしないパンになってしまいます。

 

<保管方法やカットについて>

ラップに包んだり、キッチンペーパーでぐるぐる巻いてからラップに包む等、様々な保管方法がありますが、私はあら熱を取ってからポリ袋にいれて保管しています。

 

基本、カットは十分に冷めてからです。食べる直前にカットした方が乾燥しにくいです。また、私はブレッドナイフを持っていないので、普通の包丁でカットしています。小刻みにカットすると比較的綺麗に切れます。トップの写真も普通の包丁でカットしています。

 

また、焼成時の底(写真では上部)にわずかな裂け目ができやすいです。白く囲ってある部分に裂け目ができているのが分かるかと思います。どうやらオーブンシートの切り替え部分に裂け目ができやすいようです。切り替えでない方を切ると、さほど目立たずにカットできます(できてしまう時もあります)。写真では左側ではなく、右側から切るということです。もっと良いシートの敷き方があったら良いのですが・・。
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焼成後の変化>

この米粉パンは何時に焼成終了したかにもよりますが、基本的には翌日もしっとりふわふわな状態で生食することができます。翌々日も生食できますが、比較すると劣化はしています。特に耳の部分の劣化が早いです。クラムはふわふわしているけれど、しっとり加減は若干失われているという印象。私は3日目でも生食していますが、気になる場合はトーストしてください。

 

~経過の一例~

焼成当日 PM10:30 焼成完了

焼成翌日 AM8:00 カットする。生食すると、しっとりふわふわ。 

焼成翌々日 AM8:00 カットする。少し乾燥しているが生食可能。

 

冬場なので、春・夏になるとまた変化するかもしれません。随時、更新していきます。

 

<最後に>

去年の11月から作り続け、やっとレシピにすることできて、率直に嬉しいです。子供が寝たあと、1日1回しか焼けないため、本当に何度も何度も心が折れて、挫折しそうになりました。まだ完成ではありませんが、少しは成長できたかな・・・。

 

ただ、その反面、万能なレシピとして公開できないことを少し残念に思っています。そもそも、5倍近く発酵させた米粉パンのレシピ、私が知る限りネットでは見つけられなかったので、自力で作ってみよう、と思ったのがきっかけでした。パンが大好きなのに小麦粉が食べられないという方々のためにレシピを公開したい。だからこそ、誰が作ってもうまく行くようなレシピにしたかったのです。難易度が高くなってしまったことが残念ですが、上手くできました!という方がいましたら、SNSでも、ブログのコメントでも教えて頂けますと大変励みになります。

 

今後も更新してもっと完成度の高いレシピを提供したいと思いますので、お待ちください。宜しくお願いします!