高い生地温度で4倍発酵米粉パンの大陥没を免れる
前回の記事からだいぶ間が空いてしまいました・・・。毎日焼いているのですが、なかなか満足のいく4倍発酵の米粉パンができずにいたんです。ただ、少しづつ、「こうしたら、大きな陥没は免れる」ということが分かってきたので、経過報告します。
前回は生地の流動性の高さが4倍発酵の鍵となると書きましたが、
「生地温度」も大きな影響を及ぼすのかなと最近感じています。
前回の記事はこちら↓
4倍発酵の崩壊のプロセスは、生地を4倍に膨らませ、その後に焼成して生地が固まる間に起きることが多いと思います。グルテンのない、不安定な生地に耐えられることなく生地が崩壊してしまうのです。これまでの経験上、発酵中に崩壊したことはないので・・・。となると、「焼成中の生地が固まるまでの時間をいかに短くする、つまり、崩壊する前に生地を固められるか」が鍵になってくるのかなぁと思い始めてきました。そのためには生地の温度をじわじわ上げていては間に合わない。発酵前の生地温度、発酵温度を比較的高めに設定する必要があるのかもという考えに至ったんです。
そこで、今回は仕込み水を42℃とかなり高く設定するとともに、混ぜている間に生地が冷めてしまわないよう、時折、お湯を入れた大き目のボウルに底をあてながら混ぜてみました。
※今は冬場なので、夏場はもっと温度のコントロールがしやすいかも。
今回の材料と簡単な手順はこちら。
<材料> ミニ食パン型
熊本製粉 パン用米粉 ミズホチカラ 70g
きび砂糖 6g
ゲラントの塩 1g
サフ(赤) インスタントドライイースト 1g
ぬるま湯 58g
キャノーラ油 5g
★米粉ペースト
熊本製粉 パン用米粉 ミズホチカラ 3.5g
水 12g
<データ>
温度 24℃ 湿度 50%
仕込み水 58g(42℃)
発酵前の生地温度 34.1℃
発酵 40℃ 50分
焼成 230℃に予熱後、20分焼成→蓋を外したところ、上まで釜伸びしていなかったので、4分追加で焼成
<手順>
①ペースト作り。500Wで様子を見ながらペースト状にする。
②粉類をよく混ぜておく。
③加水、ある程度混ざったら、ペーストに少し生地を加え、よく混ぜる。
④ペーストを生地本体に加えて混ぜる。
⑤油を入れて4分程度混ぜる。
⑥4倍に発酵
⑦焼成
今回、4倍に発酵させた時の生地の状態はこちら。表面に気泡が点在し、少ししわもできています。これまでの経験上、このような生地状態の時は必ず大陥没していたのですが、今回はさほど大きな陥没はしませんでした。
焼き上がりの断面図はこちら。
こんなに大きな気泡が点在しているのに、大陥没を免れたのは、びっくりしました。これまでのパンは比較的気泡を小さく均一化することで生地の安定性を保っていたので・・・。底にできる目詰まりもいつもより少なくすることができました。
こちらは以前作ったミニ食パン。さほど陥没はしていなくて、気泡は小さめ。上の写真ほど大きな気泡は見られないです。発酵前温度は25.6℃と低め。1次発酵ありだったのも気泡の大きさに関係してるかも。
さて、肝心の味ですが、過発酵にありがちなアルコール臭はまったくありませんでした。また、今回は砂糖や油の量を増やしたので、いつもより甘くて、しっとり、ふわふわなクラムが出来上がりました。そして、4倍発酵させているので、とっても軽いです。
最後に、まとめると、今回大陥没を免れたのは、生地温度を高くしたことで、生地が固化するまでの時間を短縮できたからではないか、と推測しています。一晩置くとわずかに陥没してしまいましたが、これまでと比べてかなり少ない方かと思います。今回は時間がなくて1次発酵を飛ばしたので、次回は1次発酵ありで焼いてみようと思います。